学会・研究会トピックス
国際学会・研究会レポート:国際ベーチェット病会議
15th International Conference of Behcet’s Disease
13th-15th July 2012 Yokohama
15th International Conference of Behcet’s Disease
第15回 国際ベーチェット病会議を終えて
7月13日から31年ぶりに日本で開催されました第15回国際ベーチェット病会議(15th International Conference on Behcet’s Disease)には,世界20ヶ国より約350名の参加者があり、大盛況のうちに終了することができました。これも一重にベーチェット病班の先生方のご支援のおかげであります。あらためて、心より御礼申し上げます。
会の開催にあたりましては、昨年の未曾有の震災および福島原発の問題、昨今の円高の影響による海外からの参加者の減少などを心配しておりました。さらには、開催日も九州の豪雨の情報もあり、天候にも不安がありました。
しかし、これまでの国際会議では見られない大盛況で、非常に活発な討議が繰り広げられました。
私のNIH留学時代の友人のKastner博士は、特別講演 “Behcet's Disease in the Post-Genomic Era: Lessons Learned, Unanswered Questions, Exciting Opportunities”のなかで多くの未発表の最新データを含めた研究成果を紹介していただきました。講演の終わりには、Behcet’sの今後の研究の方向性についても示唆され、参加者に大きなインパクトを与えました。
企業の協賛のもとに行われた4つのランチョンセミナーでは、各々の分野でのエキスパートの先生方に、今後の研究や診療に生かせる貴重なご講演をいただきました。
さらに、85歳という年齢にもかかわらずトルコから参加いただいたDilsen教授の記念講演では、本病の命名者のBehcet教授本人に診療してもらった話をはじめ、本学会の歴史について、教科書には記載されていない部分を含めて、錚々たる歴代の学会長を写真入りで紹介されました。学術会議では異例ともいえる講演後のスタンディングオベーションの鳴り渡る会場での座長を務め、本学会の歴史の重みが改めて感じられました。
国際学会理事長のLee教授をはじめ、多くの国内外の著名な先生方から激励を受けながら、3日間の会期は瞬時の間に過ぎ去ってしまいました。しかし、今回の国際会議は、これで終わりではなく、真に本学会の意義、成果が問われるのはこれからだと思っています。主催者として、各参加者が本学会で得た知識、情報を各国に持ち帰って研究や日常臨床に生かすこと、そして本学会での交流が起点となって、1つでも多くの国際・国内の共同研究につながって行くことを祈念いたしております。
国際学会とはいえ、多くの国内の先生方に参加いただいたことも成功の一つの要因で、日本におけるベーチェット病への関心と研究・診療のレベルの高さを十分アピールできたと思っております。
今後も、本会学会長というよりも厚生労働省ベーチェット病に関する調査研究・研究代表者として国内の先生方に診療ガイドラインをはじめとした有益な臨床面、研究面での情報を提供できるように努力するつもりです。
先生方におかれましても2014年パリ大会にも一人でも多くの方に参加いただき、この分野における日本の力を改めて世界に示すことができれば、それが本当の意味で本学会が成功であったと言えると思っております。
最後になりましたが、厚生労働省ベーチェット病に関する調査研究の班員の先生方には、プログラム委員、ランチョンセミナーやoverview演者・座長、そして多数の一般演題応募に関して並々ならぬお世話になりました。また、「第7回国際ベーチェット病の集い」でのご講演に関しても感謝申し上げます。
第15回国際ベーチェット病会議 会長 石ヶ坪 良明