学会・研究会トピックス

国際学会・研究会レポート:米国リウマチ学会

2008/10/24-29

第43回米国リウマチ学会 サンフランシスコ

第43回米国リウマチ学会は10/24-29 にサンフランシスコにて開催されました。

ベーチェット病に関する演題は14題で、うち3題が口頭発表であり、日本からも須田昭子先生(横浜市大 リウマチ・血液・感染症内科)の神経ベーチェット病における臨床的解析がピックアップされました。横浜市大附属病院、横浜市大附属市民総合医療センターの二つの病院で診療されたベーチェット病412例のうち神経症状を呈した54例の患者を解析し、日本では脳静脈洞血栓症の発症が少ないこと、サイクロスポリン関連の急性型神経症状の頻度が高いことなどを発表し、海外の臨床家と討論を行いました。さらに、トルコからの大血管病変(日本でいう血管型ベーチェット病)に関する演題、イランからは本来悪性リンパ腫に使用されるリツキシマブを難治性眼病変に使用する試みが口頭で発表されました。リツキシマブ使用の妥当性については今後議論すべきと思います。そのほか、ポスターセッションにおいては、これまでのベーチェット病患者におけるHLA-B51頻度に関する論文を国別に解析した報告、新しい国際診断基準の提案、疾患活動性評価法、CTを用いた肺動脈瘤のスクリーニング、大動脈弁の手術経験、腸管ベーチェット病に対するインフリキシマブの有用性(産業医科大学)などが発表されました。

10/27にはベーチェット病研究グループが開かれ、昨年の日韓ベーチェット病会議で特別講演の演者であったトルコのDireskeneli先生が最近の日本での患者数の減少に言及し、環境因子としての細菌感染の問題、特に口腔衛生の重要性について述べられたほか、眼病変に対するインターフェロンα治療、抗TNF抗体治療の現状につき講演があり、各国の事情を交えて討論されました。参加したのは毎回の国際ベーチェット病会議でも顔を合わせる馴染みのメンバーがほとんどでしたが、改めてベーチェット病を通じた国際的な交流を持つことのできた貴重な機会でした。

岳野光洋(横浜市立大学大 リウマチ・血液・感染症内科)

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